10.布団カバーのトラブル回避術
オーダーカバーでのトラブルが多い
とある手作り布団の店の店長と、お話をする機会があり、「どういったときに、お客様とのトラブルが多いか?」という質問に対して、その店長は、「布団カバーのオーダーメイドに関して、トラブルが多い。」とのことでした。
私たちの考えと、布団職人の考えを比較し、トラブルの原因を検討しました。
オーダーカバーの主なトラブル内容
主なトラブルの内容として、次のことがあげられます。
- 布団カバーのサイズが、布団のサイズよりも3[cm]程度、長かったり短かったりする。
- 布団カバーを洗濯したら、ファスナーの所が、シワになった。
- 布団カバーを洗濯したら、ファスナーが壊れた。
以下に、なぜこのようなトラブルが発生するかの答えがあります。
オーダーメイド布団カバーの注文方法
そもそも、私たちが、オーダーメイド布団カバーの注文する場合には、布団のサイズ以外に、おおよそ次のことを聞かれます。
たった、これだけのことなのですが、私たちと、布団職人の間で、考え方の違いが生じているようです。
綿布団の中綿の形
次の、綿布団の中綿の形状を示す概略図を、ご覧下さい。特に、綿掛け布団は、外観は長方形であったとしても、中綿は経年によって図のように、10[cm]程度縮むそうです。
布団カバーを、布団の外観の大きさで作ると、古い布団では、カバーが大きく見えてしまうそうです。どうやら、中綿の形状によって、布団カバーの最適な大きさが決まってきそうです。
もし、「布団のサイズを、メジャーで測ってきて下さい。」と言われたら、どこのサイズを測りますか?。著者は、間違いなく、下の図の「ア×イ」を測ります。
ところが、中綿の形によって、布団カバーの最適なサイズが違ってくるため、布団カバーを作るためには、「A×B」の寸法が重要です。この辺りのことが、寸法違いの発生原因の一つに、なっていそうです。
布団カバー用生地のサイズ
布団職人は、布団カバーを作る場合は、図のAやBに対して、次表のような寸法の布団カバーを作るそうです。そのようなことから、仕立ててもらった布団カバーが、布団よりも3[cm]程度大きい場合は、適切な布団カバーであると言えます。
布団の種類 | 丈の長さ(A) | 横の長さ(B) |
---|---|---|
掛け | A+5 | B+5 |
敷き | A+3 | B |
洗濯縮みのトラブル
布団屋さんの対策方法
市販されている多くの布団カバーは、ポリエステル混であるため、洗濯による縮みは、ほとんど気になりません。ところが、手作り布団の店でオーダーメイドする布団カバーは、洗濯による縮みのリスクが高い、綿100%の生地が用いられることが、多いようです。
そのような店では、洗濯による縮み対策のために、次のどちらかの細工を行っています。
- 縮みの量を考慮し、サイズを少し大きめに作る。
- 生地を湯伸ししてから仕立てる。
前者の方法で仕立てられた布団カバーは、新品で使用したときに、布団カバーが大きすぎて、クレームが多いと思います。また、布団カバーのファスナー部は、ポリエステル混なので、生地部とファスナー部の縮み率が違うため、「洗濯することにより、ファスナーの所が、シワになる。」 というトラブルが、起こる場合があります。
後者の方法では、洗濯縮みが小さくなりますが、湯伸しをする手間がかかるために、やっている店は少ないです。
オーダーメイドするときの注意事項
上記のようなことから、トラブルを避けるために、布団カバーを注文するときに、次のことに注意して下さい。
- 布団のサイズは、上図のA×Bを正確に測り、その測った場所を明確に述べること。
- 掛けか、敷きかを述べること。
- 布団の種類(綿布団、羽毛布団、羊毛布団など)を述べ、おおよその使用年数を述べること。
- 綿100%の生地を選んだ場合は、湯伸しを依頼する。
- 布団のサイズより、布団カバーのサイズが5[cm]程度、大きくなることがあることを容認する。
尚、湯伸しは、なるべく手作り布団の店に任せるように、して下さい。湯伸しをした後は、アイロンを掛ける必要がありますが、その方法によっては、生地が縫いにくくなるそうです。
洗濯するときの注意事項
また、布団カバーを洗濯するときに、ファスナーのエレメント部が壊れることを防ぐために、次のことに注意して下さい。
- 布団カバーを、洗濯ネットに入れる。
- 又は、ファスナーを閉じる。
店長からの一言
「布団はフワフワしているし、カバーは洗濯して縮むので、布団のサイズにピッタリの、布団カバーを作ることは、ほぼ不可能。」 だそうです。