布団カバーのトラブル回避術

10.布団カバーのトラブル回避術

オーダーカバーでのトラブルが多い

とある手作り布団の店の店長と、お話をする機会があり、「どういったときに、お客様とのトラブルが多いか?」という質問に対して、その店長は、「布団カバーのオーダーメイドに関して、トラブルが多い。」とのことでした。

私たちの考えと、布団職人の考えを比較し、トラブルの原因を検討しました。

オーダーカバーの主なトラブル内容

主なトラブルの内容として、次のことがあげられます。

  1. 布団カバーのサイズが、布団のサイズよりも3[cm]程度、長かったり短かったりする。
  2. 布団カバーを洗濯したら、ファスナーの所が、シワになった。
  3. 布団カバーを洗濯したら、ファスナーが壊れた。

以下に、なぜこのようなトラブルが発生するかの答えがあります。


オーダーメイド布団カバーの注文方法

そもそも、私たちが、オーダーメイド布団カバーの注文する場合には、布団のサイズ以外に、おおよそ次のことを聞かれます。

  1. 掛けか、敷きか?
  2. 布団の種類(綿、羽毛、羊毛など)
  3. 生地(種類や柄)

たった、これだけのことなのですが、私たちと、布団職人の間で、考え方の違いが生じているようです。

綿布団の中綿の形

次の、綿布団中綿の形状を示す概略図を、ご覧下さい。特に、綿掛け布団は、外観は長方形であったとしても、中綿は経年によって図のように、10[cm]程度縮むそうです。

新品の掛け布団の中綿経年比較的新しい掛け布団の中綿経年古い掛け布団の中綿

布団カバーを、布団の外観の大きさで作ると、古い布団では、カバーが大きく見えてしまうそうです。どうやら、中綿の形状によって、布団カバーの最適な大きさが決まってきそうです。

もし、「布団のサイズを、メジャーで測ってきて下さい。」と言われたら、どこのサイズを測りますか?。著者は、間違いなく、下の図の「ア×イ」を測ります。

布団のサイズを測る場所

ところが、中綿の形によって、布団カバーの最適なサイズが違ってくるため、布団カバーを作るためには、「A×B」の寸法が重要です。この辺りのことが、寸法違いの発生原因の一つに、なっていそうです。

布団カバー用生地のサイズ

布団職人は、布団カバーを作る場合は、図のAやBに対して、次表のような寸法の布団カバーを作るそうです。そのようなことから、仕立ててもらった布団カバーが、布団よりも3[cm]程度大きい場合は、適切な布団カバーであると言えます。

布団のサイズを測る場所
一般的な布団カバーの寸法(単位[cm])
布団の種類丈の長さ(A)横の長さ(B)
掛けA+5B+5
敷きA+3B

洗濯縮みのトラブル

布団屋さんの対策方法

市販されている多くの布団カバーは、ポリエステル混であるため、洗濯による縮みは、ほとんど気になりません。ところが、手作り布団の店でオーダーメイドする布団カバーは、洗濯による縮みのリスクが高い、綿100%の生地が用いられることが、多いようです。

そのような店では、洗濯による縮み対策のために、次のどちらかの細工を行っています。

  • 縮みの量を考慮し、サイズを少し大きめに作る。
  • 生地を湯伸ししてから仕立てる。

前者の方法で仕立てられた布団カバーは、新品で使用したときに、布団カバーが大きすぎて、クレームが多いと思います。また、布団カバーのファスナー部は、ポリエステル混なので、生地部とファスナー部の縮み率が違うため、「洗濯することにより、ファスナーの所が、シワになる。」 というトラブルが、起こる場合があります。

後者の方法では、洗濯縮みが小さくなりますが、湯伸しをする手間がかかるために、やっている店は少ないです。

オーダーメイドするときの注意事項

上記のようなことから、トラブルを避けるために、布団カバーを注文するときに、次のことに注意して下さい。

  1. 布団のサイズは、上図のA×Bを正確に測り、その測った場所を明確に述べること。
  2. 掛けか、敷きかを述べること。
  3. 布団の種類(綿布団、羽毛布団羊毛布団など)を述べ、おおよその使用年数を述べること。
  4. 綿100%の生地を選んだ場合は、湯伸しを依頼する。
  5. 布団のサイズより、布団カバーのサイズが5[cm]程度、大きくなることがあることを容認する。

尚、湯伸しは、なるべく手作り布団の店に任せるように、して下さい。湯伸しをした後は、アイロンを掛ける必要がありますが、その方法によっては、生地が縫いにくくなるそうです。

洗濯するときの注意事項

また、布団カバーを洗濯するときに、ファスナーのエレメント部が壊れることを防ぐために、次のことに注意して下さい。

  • 布団カバーを、洗濯ネットに入れる。
  • 又は、ファスナーを閉じる。

店長からの一言

「布団はフワフワしているし、カバーは洗濯して縮むので、布団のサイズにピッタリの、布団カバーを作ることは、ほぼ不可能。」 だそうです。