用語の書き方

9.用語の書き方

検索エンジンで、何かを検索するときに、次のようなことに、悩んだことはありませんか?。例えば、「かけぶとん」を検索するとします。そのときに、「掛け布団」、「掛布団」、「かけ布団」、「掛けぶとん」など、様々な書き方があり、どの書き方で検索したら良いか迷います。

また、Webサイトを制作する立場の方も、どのような書き方が、検索にヒットし易いか、悩むところです。このような用語の書き方の違いのことを、「同義語」とか「言葉のゆらぎ」と言います。

そこで、ここでは、布団用語を例にして、どのような書き方が、インターネットで一般的かを検証する方法を、ご紹介致します。


検証方法(検索エンジンの利用)

検証方法

一般的な書き方の検証は、次のような手順で行うことと致します。

  1. 検索エンジン「Google」を用いて、様々な書き方で、1単語づつ検索する。
  2. 各書き方で、検索ヒット数を拾う。
  3. 検索ヒット数の最も多い書き方が、一般的な書き方であると見なす。

このような検証方法を、「グーグルパワーによる検証」と呼ぶことに致します。

ここで、グーグルパワーとは、私が愛読していた雑誌「週間アスキー」のコンテンツで、「物欲番長」(著者:スタパ斎藤氏)というコーナーがあります。そのコーナーに4コママンガ「反則工場」(著者:金子ナンペイ氏)があり、その中で出てきた用語です。

検索エンジン「google」を使って、ある用語を検索し比べたときに、ヒット数が多い(グーグルパワーが高い)方が勝ちといった内容でした。

検証内容

検証内容として、書き方が多いと思われる、「かけぶとん」と「しきぶとん」について、調べてみました。それらの用語を、前部「かけ」と「しき」、後部「ぶとん」に分けて、それぞれを

前部:「掛け」「掛」「かけ」「カケ」、「敷き」、「敷」、「しき」、「シキ」

後部:「布団」「蒲団」「ふとん」「ぶとん」

と書き方を変え、それぞれ、前部と後部の16通りの組み合わせで検索しました。


検証結果1「かけぶとん」

「かけぶとん」の書き方によるグーグルパワーの変化(2004年12月調べ)
書き方グーグルパワー全体の割合
合計236,976100.0%
掛け布団106,00044.7%
掛布団57,30024.2%
掛けふとん28,40012.0%
掛ふとん37,50015.8%
その他7,7763.3%

「かけぶとん」の様々な書き方の中で、「掛け布団」が最もグーグルパワーが高いく、全体の約45%を占めており、最も一般的な書き方であると言えます。

ですが、2位の「掛布団」も全体の約25%を占めているので、かなりグーグルパワーが高いと言えます。

また、「布団」と「ふとん」を比べた場合、「布団」の方が一般的であると言えます。「蒲団」や「ぶとん」は、あまり用いられていないようです。

手持ちの国語辞典では、「掛(け)布団」か「掛けぶとん」と書いてありましたので、「掛け布団」、「掛布団」ならびに「掛けぶとん」が、日本語として正しいと思われます。

「掛け布団」と「掛布団」で、全体の約70%を占めているため、「かけぶとん」を検索する場合、シソーラス検索が発展するまでは、「掛け布団」と「掛布団」の2語で検索した方が良いと言えます。

書き方は、なるべく統一された方がいいので、布団関連のWebサイト制作を担当している方に、「掛け布団」で統一していくことを提案致します。


検証結果2「しきぶとん」

「しきぶとん」の書き方によるグーグルパワーの変化(2004年12月調べ)
書き方グーグルパワー全体の割合
合計192,060100.0%
敷き布団53,90028.1%
敷布団73,30038.2%
敷きふとん21,80011.4%
敷ふとん35,60018.5%
その他7,4603.9%

「しきぶとん」では、「敷布団」が最もグーグルパワーが高く、一般的な書き方であると言えます。

ところが、第1位の「敷布団」でも、全体の40%弱しかなく、第2位の「敷き布団」と合わせても、全体の65%と、「かけぶとん」と比べると、書き方にバラツキが多いと言えます。

その原因の一つとして、「かけぶとん」は送り仮名「け」を入れて書くのに対して、「しきぶとん」には送り仮名「き」を入れずに書く人が多いことがあげられます。

手持ちの国語辞典では、「敷(き)布団」と「敷きぶとん」が書いてありましたので、「敷き布団」、「敷布団」ならびに「敷きぶとん」が、日本語として正しいと思われます。

しかし、グーグルパワーから見ますと、インターネットでは「敷布団」が一般的ですが、「しきぶとん」を検索する場合、当面は「敷き布団」、「敷布団」ならびに「敷ふとん」の3語で、検索するようにすべきであると言えます。

布団関連のWebサイト制作を担当している方に、「敷布団」で統一していくことを提案致します。


まとめ

検索エンジンで、日本語を検索する場合は、用語の書き方によって、検索結果が大きく異なることがわかりました。そのため、同義語や言葉のゆらぎを考慮して検索してくれる、シソーラス検索の発達が望まれます。

検索するときの書き方が、人によって違ってくるために、Webサイトを制作する場合、ある用語の書き方のほとんどを、Webページに入れることがあります。

いろいろな書き方を盛り込んだWebページでは、多くの検索エンジンで、上位にヒットし難くなることが多いですが、検索する側としては、どのような書き方でも、そのWebページがヒットするようになり、調べる側からしますと便利であると言えます。